優待クロス取引で制度信用を利用した場合、逆日歩リスクはどの程度か?検証してみた!

逆日歩のリスク検証

株式優待クロス取引は逆日歩の発生しない一般信用取引で!と一般信用取引を扱う証券会社や株主優待クロス取引を解説しているブログなどでは大抵そう紹介されています。

ですが、私は株主優待クロス取引をする際、一般信用取引はほとんど利用せず制度信用取引を利用しています。

リスクの取り方など考え方を含めこういったことは人それぞれの性格に合わせて選択すれば良いとは思いますが。

でも逆日歩のリスクについて考えたことはあるでしょうか?一般信用取引なら逆日歩のリスクが無いからという理由だけで一般信用取引を利用している人も多いのではないでしょうか?

同じ手法で負うリスクは無くなるのに同じ利益を出せるなんてことは基本ありえませんし、そう考えるのが無難です。あるとしたら誰かがそのリスクの分を負担してくれているという事ですが、証券会社がそんなことしてくれるはずがありません。(多分)

そこで逆日歩のリスクはどの程度なのか?一般信用取引は制度信用取引よりも得なのか否か?

今回はこれらについて考えてみたいと思います。

 

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逆日歩

逆日歩についての説明を一応簡単にしてみます。知ってる方は飛ばしてください。

逆日歩とは?

信用売りが多くなり株不足になると機関投資家などから株を借りる必要が出てきます。その借りるための調達コストを信用売りする投資家が負担することになるのですが、その負担額を逆日歩と言います。信用売りする人にとっては厄介なコストの一つです。

逆日歩の発生する仕組みも簡単に説明しておきましょう。信用売りが信用買いを上回り株不足が生じると日本証券金融は株不足の解消に努めますが、ここで株不足が解消されれば逆日歩は発生しません。解消されない場合は0円~価格帯によって定められた最高料率までの間で入札が行われ逆日歩が決定するようです。

株不足によって逆日歩は発生するので信用売りが信用買いを上回らなければ発生することはありません。

 

逆日歩日数

逆日歩は1日単位でかかりますので土日をはさむと最低3日分かかるという事になります。受渡日は2日後なので月末が権利日の場合、水曜日が権利付最終日になると逆日歩は3日になりますね。祝日などが絡むと変わってきます。また2019年7月から受渡日は2日になりました。

月末と翌月1日が両方とも平日だと逆日歩は1日。どちらかに土日が含まれると3日と覚えておくとわかりやすいかもしれません。

具体的には月末が金曜、土曜、日曜だと逆日歩は3日かかるという事です。この場合は権利付最終日が水曜日になるんですね。

やけに権利付最終日が水曜で逆日歩が3日分の月が多いなと感じるかもしれませんが、月末が金曜、土曜、日曜の場合、逆日歩は3日になるのですから単純に7分の3で逆日歩は3日になるのです。

12月などは正月休みがあるのでさらに長くなりがちです。4月もゴールデンウィークが絡むと長くなりがちですね。2019年4月の逆日歩は11日ありました。

 

最高逆日歩

逆日歩は価格帯によって最高料率が決まっていてその範囲内で入札が行われます。なので最大で発生する逆日歩は事前にわかります。

売買単位100株で株価500円までの株式は最高料率1円で、そこから100円上がっていくごとに最高料率は0.2円ずつ増えていきます。

最高料率早見表

ただし、権利付最終日はこの4倍になります。注意喚起銘柄だとさらに2倍になるので最大8倍です。

例えば売買単位100株で株価550円の場合、権利付最終日だと1.2円×4で4.8円です。100株だと480円の逆日歩が最高額という事です。逆日歩3日だと1,440円になります。

 

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逆日歩リスク

逆日歩は時としてかなり高額になることもあります。

例えば、権利日が4月末のくらコーポレーション(2695)の2018年の逆日歩は232円でした。100株で23,200円にもなりますが、100株の優待は2,500円分(500円×5枚)の食事券です。

くらコーポレーションは回転寿司チェーン『無添くら寿司』を展開する会社ですね。

2,500円分の食事券に23,200円の逆日歩ですから大失敗と言えます。くら寿司が高級寿司店になってしまいましたね(笑)

この時は逆日歩4日でしたが、毎年4月末の優待は5月にゴールデンウィークがある影響で逆日歩日数が多くなりがちですので気を付けましょう。

 

2019年3月の大きな逆日歩例

過去をほじくり返せば、くら寿司よりかなり強烈なケースもあるでしょうけど、探しだしたらきっと切りがありません。なのでイメージしやすくするためにも最近の2019年3月の逆日歩はどのぐらい発生したものがあるのか見てみましょう。

今回、最高逆日歩が付いたのは15銘柄のようですね。私も一つ食らってしまいました。。

3月株主優待クロス取引の結果

3月株主優待クロス取引の結果!まさかの最高逆日歩を食らう!その結果やいかに!

2019年3月27日

 

福留ハム(2291)

今回、最高額を付けたのは福留ハム(2291)の110.4円です。

優待は200株以上で5,000円相当の自社商品詰め合わせということなので22,080円の逆日歩を支払って5,000円相当のハムをもらったというわけですか。

チムニー(3178)

他には最高逆日歩ではなかったですが、チムニー(3178)は96円、100株で9,600円の逆日歩が発生しています。100株の優待はお食事券500円券が10枚です。

優待券5,000円分で自社オリジナル商品と交換することもできるようですが大体5,000円相当なのでしょう。『特選米食べ比べセット』や『干物セット』あとは『ちゃんこセット』に『特選チャーシュー』に『すきやきセット』や『カレーセット』等。全部食べ物ですね。

松屋フーズホールディングス(9887)

他には松屋フーズホールディングス(9887)は75円、100株で7500円の逆日歩です。100株の優待は優待食事券10枚です。

700円ぐらいの定食を10回も食べれるので優待は結構良いですよね。私も昔取ったことがあります。毎回いくらかは逆日歩が付くのですが今回は高く付いてしまいましたので普通に食べに行ったほうが安かったですね。

今ならPayPayを利用すれば20%還元されるので、絶対それの方が良いです。

ココスジャパン(9943)

ココスジャパン(9943)も57円、100株で5,700円の逆日歩が付いてます。優待は100株で食事優待券500円が2枚と飲食代金5%割引になるシルバーカード、200株だと食事優待券500円が4枚で飲食代金10%割引のゴールドカードです。

割引カード利用してココスで10万円ぐらい使えば元取れますかね。明らかにこれも失敗でしょう。

 

逆日歩が大きくなる銘柄の特徴

皆さん食べ物が好きなんですかね?

私の感覚的なものでしかないですが有名飲食チェーン店の食事券なんかが高額な逆日歩になることが多い気がします。

今回のハムみたいに食べ物系の自社商品なんかも高額な逆日歩が付きやすいかもしれませんね。

たしかに金券とかと比較すると自社商品や飲食店の食事券って優待利回りは高い傾向にありますよね。

良く行く店だったりするとお得感があるのかもしれません。

 

高額な逆日歩を回避する方法

逆日歩を完全に回避する方法は一般信用取引を利用してクロス取引するしかありません。制度信用取引を使用してクロス取引する場合はどんなに気を付けていても回避するのは無理です。。

ですが、以下のような銘柄を回避すれば、高額な逆日歩をいただかないようにある程度はできるかなと思います。

過去に高額な逆日歩が発生している

毎回のように高額な逆日歩がついている常習犯的な銘柄もありますからそういうのはまず回避するという事と過去に一度でも高額な逆日歩が発生したことがあるのであればやめておくのが無難です。

時価総額が小さい、発行済株式数が少ない

これも必ずとは言えませんが時価総額が小さい銘柄や発行済株式数が少ない銘柄は高額な逆日歩が付きやすい傾向にあると思います。

私は主に時価総額を見て判断してます。なるべく1,000億以上が好ましいかなと思いますが、それだと対象が少なくなってしまうので100億以下じゃなければ、とりあえずは検討しようかなといった具合です。

信用倍率(信用買い÷信用売り)を見る人もいるかと思いますが、こういった銘柄は権利日直前まで信用倍率が5倍、10倍あったとしても簡単に逆転するので時価総額や発行済株式数も見て企業規模も把握したほうが良いと思いますね。

注意喚起銘柄

注意喚起銘柄は逆日歩が2倍になってしまうので最高逆日歩が発生した場合を想定して回避するようにはしています。とんでもない逆日歩が付くのは注意喚起銘柄であることが多いです。

ただ、最高逆日歩が2倍(入札の最高額が2倍)になるだけであって決定した逆日歩が2倍になるわけじゃないんですね。なので後々見てみると逆日歩が発生していなかったり発生していても意外と少額だったりすることも多いです。

おそらく他の人も警戒して信用売りをしてこない結果、逆日歩が発生しないという事が多いんだと思います。

あえて逆を突くのも良い手だと思いますが難しいところです。

 

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優待銘柄の取捨選択

高額な逆日歩が付かなくても優待価値に近い逆日歩が付くとクロス取引する意味がないですから優待銘柄の中からさらに取捨選択するわけですが私は次のような基準で選ぶようにしています。

有効かどうかはわかりません。

必要資金が少ない

単純に必要資金が少ない銘柄です。理由は優待利回りが良いとも言えますが、資金効率が良い事と最高料率は株価ごとに決まってるので株価が小さい方が最高逆日歩も小さくなるからです。最高逆日歩が小さいと相対的に逆日歩も小さくなる傾向にあると感じます。

ただし、株価500円以下はすべて最高料率1円なのであまり小さすぎるのも逆によろしくないですね。500円~1,000円ぐらいが扱いやすいかなと思います。

例えば、第一稀元素化学工業(4082)の優待は100株以上でクオカード2,000円分です。株価は800円台なので最高逆日歩が付くと3日分で2,160円になりますが、最悪それでも損失はたかが知れています。

今回、90円の逆日歩が付きましたがクロス取引としては成功だと思います。

配当利回りが高い

一般信用取引だと関係ない話ですが制度信用取引でのクロス取引であれば配当金と配当落調整金の差額が利益になるので話は別です。

詳しくはこちらの配当金についてを参照。

制度信用取引と一般信用取引の違い

株主優待クロス取引では制度信用取引と一般信用取引どちらが有利か?その違いとメリット、デメリットを解説!

2019年3月26日

 

例えば、天馬(7958)は株価2000円程度で3月末の配当予定額は60円なので利回りは約3%です。ちなみに優待はクオカード1,000円分です。

100株で6,000円の配当になるので約12%分の720円(税引き後)が手元に残ります。今回210円の逆日歩が付きましたがそれを上回る配当金での利益を得たのでこのクロス取引は大成功だと言えます。

さらに720円は税金考慮後なので逆日歩の損失210円×約20%の42円も還付されます。

 

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一般信用取引との比較

とは言え、こんな面倒な事考えるなら最初から一般信用取引でクロス取引すればいいじゃないかと思われるかもしれません。楽ですしね。

ですが、逆日歩リスクの高い銘柄はそもそも一般信用取引ができなかったり、在庫がすぐ切れてクロス取引できなかったり不自由な点も多いです。

その点、制度信用取引の貸借銘柄であれば取引停止にならない限りは権利付最終日にクロス取引できる自由さがあります。

検証

そこで、今回は逆日歩が付きそうな2019年3月末の優待銘柄で、かつ一般信用取引の在庫がある銘柄は一般信用取引でクロス取引してみました。一般信用取引ができなければ制度信用取引でクロス取引しようとしていた銘柄です。

これらの銘柄について制度信用取引とどっちが得だったか逆日歩を確認して調べてみましたが、制度信用取引をしていた場合、逆日歩は9,450円、配当金予定額は92,800円でした。

ということは配当金で92,800円×12%の11,136円利益が出ていたので負担する逆日歩を上回り、制度信用取引でクロス取引していた方が良かったという事になります。

一部ですが、最後まで在庫が残っていた一般信用取引銘柄の4銘柄を確認しましたが、その銘柄だけに限定すると逆日歩390円、配当金予定額8,800円でした。

8800円×12%-390円で666円も制度信用取引の方が有利だったのです。

ちなみに4銘柄中3銘柄は逆日歩が発生しませんでした。

 

検証2(参考)

これは一般信用取引との比較ではないですが、今回ピックアップしていた銘柄の中で回避したものをもし制度信用取引でクロス取引していたらどうなっていたか調べてみました。もちろん一般信用取引は出来ないか、在庫が残っていなかった銘柄です。(クロス取引するなら制度信用取引するしかない)

結果は逆日歩39,750円、配当予定金額199,495円です。

199,495円×12%-39,750円で-15,810円の損失となりました。このケースだと約5,984円は還付されます。

 

まとめ

今回の結果だけを見ると権利付最終日に一般信用取引の在庫が残っていると制度信用取引でクロス取引したほうが有利になる。

一般信用取引ができないか、権利付最終日に在庫が残ってない銘柄で取捨選択の結果回避した銘柄を制度信用取引でクロス取引すると不利な結果となるという事です。

よって、取捨選択して回避した銘柄を除けば全部制度信用取引でクロス取引したほうが有利であって、権利付最終日に一般信用取引でクロス取引できる銘柄は証券会社が得をするから一般信用取引はやらないほうが良いという結論にとりあえずは至ります。

ただ、これは逆に考えれば制度信用取引でクロス取引をするかどうかの判断基準として応用できるのかなとも思いましたので次回参考にしてみます。

一般信用取引は逆日歩のリスクを回避できるのがメリットと言えますが、結局一般信用取引ができる銘柄は大きな逆日歩は発生しないんじゃないですかね。それだと一般信用取引を利用する意味はあまりない気がします。

優待タダ取りしようとして失敗し、優待以上の逆日歩を払っていても意味ないですけど、制度信用取引で大きな逆日歩をたとえ食らったとしても、くら寿司のお寿司じゃないですが話のネタにはなります!

株式投資で負けるときに比べたら、くら寿司のケースだって額にしたら可愛いものです。なので私はこれからも制度信用取引を中心にクロス取引しようと思うのであります。

 

追記

2019年9月、12月でも検証をしてみましたので気になる方はこちらも参考にしてみてください。

9月株主優待クロス取引の結果!権利手数料を取られるミスも。。

2019年9月27日

12月株主優待銘柄クロス取引の結果!やはり一般信用取引は証券会社の陰謀だった!

2019年12月27日
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