会計の知識は様々な分野で活かせるため、割とつぶしが効くスキルと言われます。経理のない会社なんてありませんし、会計の知識を持っていて損をすることはありませんからね。
また自分で起業するにしても会計の知識は必要なスキルの一つですし、株式投資で資産運用する際にもこうした知識は役に立ちます。
ただ、会計の知識と言っても会計専門分野の資格には簿記検定の他、税理士や公認会計士など幅広く、どこまでの知識が必要かは人それぞれです。その中でも人気のある会計資格が割と知名度も高い日商簿記検定ではないでしょうか。
日商簿記検定には1級、2級、3級、初級と段階的に難易度が分かれているので、税理士試験や公認会計士試験などの難関資格よりは取り組みやすいかと思います。
そんな日商簿記検定の中でも費用対効果を考慮しておすすめなのが日商簿記2級です。
3級は市販のテキストで本気で頑張れば知識ゼロからでも1週間、かかっても1ヶ月程度で十分合格できるレベルです。
逆に1級になると難易度は相当上がり勉強時間としては1,000時間程度が必要になってきますから、かなり頑張っても1年程度はかかると思っていたほうが良いですね。独学でも可能ではありますが、かなり大変なのは覚悟しておくべきです。
その点、2級であれば独学でも十分合格可能なレベルで頑張れば2ヶ月、遅くとも4ヶ月~6ヶ月もあれば合格ラインに到達できる試験です。
2級は3級にはない工業簿記(原価計算を含む)の範囲も加わり、より知識の幅が広がります。1級の試験範囲はかなり広く、正直そこまで必要としない細かい知識も含まれてくるのに対して2級は基本的な知識から少し応用的な知識の範囲内なので実用的な知識を学ぶには丁度良いと言えるのです。
そこで今回は日商簿記2級を独学で突破するコツを解説するとともに独学合格するまでに必要な時間や費用を実際の経験から具体的に示していきたいと思います。
もくじ
日商簿記2級の試験内容
まず簡単に試験内容をおさらいしておきます。すでに知っている方は流してください。
- 日商簿記2級の試験科目は商業簿記と工業簿記の2科目で5問構成。
- 試験時間は120分。
- 各大問20点満点の合計100点満点で合格ラインは70点。
大問1~3が商業簿記で60点満点、大問4~5が工業簿記で40点満点という配点です。
日商簿記2級の難易度
日商簿記2級の合格率は10%~40%の範囲で推移していて、受験する回によってかなり難易度にばらつきがあります。
個人的に難易度は常に同じにすべきだと思いますが、現実には本来合格するレベルにある人が運悪く難しい回にあたって不合格になってしまうといったこともあります。
直近の試験では15%程度の合格率が続いており、以前よりもかなり合格が難しくなったと感じます。
特に第151回の試験では合格率は12.7%、第3問の連結精算表がかなり難しかったようで物議をかもしました。
私が受験した時は連結会計なんて簿記2級の範囲ではなかったですから、そう考えると今の簿記2級は範囲も広く、準1級レベルと考えても大げさではないかもしれません。
日商簿記2級の試験対策
日商簿記1級は合格率が概ね10%になるように配点を調整する相対評価なので難しい問題が出題されても上位10%に入れれば合格できるのですが、2級の場合は絶対評価なのでしっかり70点を取らなければいけません。
そうなると難しい回は当然70点を取りずらくなるので合格率は低くなるのです。1級のように最初から正答率が低い問題を捨てるという考えは2級ではないでしょうから、戦略や試験勉強の取り組み方は意外と難しいと思います。
ですが、簡単な問題を優先的に解いて難しい問題は飛ばしていく、時間内に解けない問題は無視するという基本スタイルでも70点は超えられるようです。
2級はあくまで簿記の知識のみを問われるべき試験だと思いますのでこういう簿記1級や会計士試験などのように試験対策が必要になることは好ましくないと思いますが、最近の簿記2級はそんなことも言っていられなくなってきているのが現状です。
私が簿記2級に合格したのは2009年の大昔ですが、その当時から商業簿記は難しい問題が出題される傾向にあり、今もその傾向は変わらないようです。
それでは工業簿記はどうなのか。私が合格した時、工業簿記は商業簿記に比べるとかなり点数が取りやすく時間もかなり節約できました。
出題範囲が頻繁に改定される商業簿記に比べ、工業簿記は基本的に出題範囲はかわりませんのでしっかり勉強すれば得点源にしやすいと思います。
なので3級を合格して、これから2級を受けようと思っている方は新しく範囲に加わる工業簿記に抵抗があるかもしれませんが、配点が40点だからとはいえ決して疎かには出来ないと思ってください。
商業簿記で難しい問題が出題されて無駄に時間をかけてしまうと終わりです。
なので配点が60点の商業簿記で高得点を狙うより、むしろ工業簿記の方で40点満点を目指すぐらいが取り組み方として丁度良いと思いますね。
工業簿記でさっと35点程度得点して、後は商業簿記で35点取れれば合格できるというイメージでいれば気も楽かと思います。
合格までの費用と勉強時間
参考までに私が簿記2級を独学合格するまでにかかった勉強時間と費用を記載しておきます。
実際に使用したテキストはネットスクール出版の『サクッとうかる』シリーズです。かなりライトな作りなのですが、当時2級に合格するには十分でした。
※最新版を確認して使用することをおすすめします。
使用したのはこのテキストと問題集、他に過去問と予想模試です。結果、47日間、195時間30分の勉強時間で無事に合格することが出来ました。
勉強の仕方として、テキストなどで論点を理解するインプットと理解した知識を得点につなげるアウトプットがありますが、アウトプットを重点的にやるべきですね。
インプットを疎かにしてはいけませんが、得点が伸びてくるのはアウトプット中心の学習に移してからです。テキストを7割理解したら後はひたすら問題を解くといった感じで行くと結果として効率的だと思います。
費用はテキスト2冊とトレーニング問題集2冊、過去問と予想模試で10,000円ぐらいでしょうか。当時はもう少し安かったですかね。この他に受験料等がかかります。
- テキスト、トレーニング問題集セット:約6,000円
- 過去問:約1,500円
- 市販の模試:約1,500円
TACや大原などで簿記2級講座を受講すると6万円~9万円前後はします。さすがに簿記2級は独学でも合格できますので市販のテキストでの独学がおすすめです。
1回で合格すれば受験料を含めて15,000円程度あれば足りると思います。資格学校などで公開模試を受けるという選択もあると思いますが、2級は相対試験ではありませんし個人的には必要ないかなと思いますね。私も公開模試は受けませんでした。
あと、あくまでテキスト等は一例です。どれ使ってもそれほど差はありませんので自分が使いやすければ正直何でも良いんです。やる気の方がずっと大事ですから。
まとめ
独学合格までの勉強時間は最低でも200時間~250時間ぐらいは必要でしょう。独学であっても費用は受験料含めて15,000円程度は最低必要になりそうです。
日商簿記2級は昔よりも厳しくなったとはいえ十分独学で合格できますし、独学で合格すべき試験だと思います。
資格学校などに通うと6万円~9万円もの費用がかかってしまいますからね。これだとあまり費用対効果は良くありません。
ただ独学だと孤独になりがちなのでモチベーションが落ちてしまう事もあるでしょう。私はブログをやって日々の勉強の記録をしていましたが、モチベーションを保つのには良い方法だったと思っています。
同じ受験生との交流が出来たり、進捗などの確認もできるので勉強の計画も立てやすいですしね。
これから受験を始める方や行き詰っている方はブログを始めるのもおすすめですよ。
もし2級合格後、1級を目指すという方はこちらを見てから検討してみてください。
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